14 3月 発酵ブルーベリー その1
*発酵ブルーベリーまでの道のり
BerrySmileを結成した際にめざしたことは、ブルーベリー本来の味のする加工品を作りたいということでした。ブルーベリーの加工品はたくさんありますが、「私たち農家が知っている真夏の農園で食べる完熟ブルーベリーの味とは違っているね」。とよく話していました。
完熟ブルーベリーの味の再現をめざしての学習会が始まりました。そして、気づいたことはブルーベリーの生果実には特徴的な香りがありません。香り無しで味を表現することはかなり難しいことです。学習会の一つに「酵素ドリンク教室」がありました。ブルーベリーと上白糖と酵母のみを原料に毎日攪拌して発酵させます。出来上がったものをお互いに持ち寄り、試食しました。ふたを開けた瞬間に洋酒漬けのような芳醇な香りが広がります。果実からはたくさんの果汁ができていて、ブルーベリーの味がします。誰かが「すごくブルーベリーを感じる!」と言いましたが、まさにその通りです。私たちはこの発酵ブルーベリーを利用して加工品作りに取り組むことにしました。
*発酵について学ぶ
能登には元々発酵文化が根付いていました。夏はアジのひね寿司、冬はサバのかぶら寿司を作ります。味噌や納豆も以前は各家庭で作っていました。保存食として「発酵」はとても身近な存在でした。しかしながら、私たちには「発酵」についての知識は全くありませんでした。
そこで、石川県工業試験場の化学食品部を訪ねることにしました。商品化の前に言われたのは、発酵によってアルコール分が含まれていると、お酒になるので醸造許可が必要になるということです。ここが第一関門でした。心配しましたが、その日のうちに結果が出て、限りなくゼロに近い値しかないということで安心しました。
次に問題になったのは「酵母」をどうやって入手するかです。商品として販売するからにはきちんとしたものが必要です。ある時、ブルーベリーを蜂蜜に漬けておいたところ、泡がプクプクしてきました。発酵の状態です。これを酵母に使ってブルーベリーを発酵させようと思いましたが、蜂蜜独特の匂いが気になりました。どうしようか悩んでいた時に工業試験場化学食品部からお電話をいただきました。「ブルーベリーから酵母を採取することができました。」といううれしく、ありがたい連絡でした。この酵母は「BSK-1」と名付けられました。「BSK-1」の特性は土壌に由来するもので、他の地域のブルーベリーから採取しても、同じ特性があるとは言えないそうです。
これで、原材料が揃いました。いよいよ商品化の始まりです。
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