29 10月 発酵ブルーベリー その2
*発酵ブルーベリーの商品化
発酵ブルーベリーはブルーベリーと上白糖に酵母を加えて、発酵させます。最初は上白糖の味が濃いのですが、日を重ねるごとに上白糖の味から発酵したブルーベリーの味へと変化していきます。小さかった気泡もしだいにきれいなピンク色になり、一面大きな気泡となります。毎日、容器の蓋を開ける度に味、香り、気泡の変化にワクワクします。
ブルーベリーを発酵させるとたくさんの果汁ができます。水は全く加えていないので、100%ブルーベリーの果汁です。糖度は60度くらいありますが、糖度が高いため雑菌が繁殖しにくいというメリットがあります。
商品化にあたって、たくさんの試作や実験を行いました。ソースを作る際に何分煮るかによって糖度も違ってきます。また、冷凍果実を加えて煮ると品種によっては果実がそのまま残るものもあることがわかりました。ソースはプレーンヨーグルトにかけて食べるのが一番のおすすめですが、プレーンヨーグルトもたくさんの種類があります。ある時、6種類のプレーンヨーグルトを買ってきてソースをかけてみました。ヨーグルトによって、混ざり具合、色、味もそれぞれ違ってきます。一口にプレーンヨーグルトと言っても甘みの強いもの、酸味の強いもの、なめらかさ等それぞれに特性があって、なるべくどんなヨーグルトにも合うソース作りをめざしました。
こうして試作や実験を繰り返していると、いろいろと疑問や問題点も見えてきます。農家だけではわからないことばかりなので、工業試験場化学食品部のセミナーに参加したり、直接お話を聞きに行ったりします。商品作りを通して学ぶことはたくさんあります。いつの間にか、私たちの合言葉は「日本一研究熱心なブルーベリー農家をめざそう」になっていました。
何回も試作実験を繰り返した結果、初めに作った商品は「発酵ブルーベリーソース」です。発酵させた果汁に冷凍ブルーベリーを加えて加熱します。ラビットアイ系のベル―ベリーの中で「ホームベル」という品種は加熱しても形がそのまま残ります。食べるとプチっとはじける食感がアクセントになります。ヨーグルトやアイス、ハード系のパンと合わせていただくのがオススメです。また、ドレッシングや肉料理、煮物などの調味料として利用してもまろやかな味わいに仕上がります。
発酵させた果実はそのまま、召し上がっていただくとドライフルーツとは違うジューシーな食感と芳醇な香りに驚かされます。また、パン生地に練りこんで焼いてもジューシーで形がそのまま残り、プロのパン職人も大喜びです。和菓子屋さんとのコラボ商品としてもクリームチーズのお饅頭「チーズマンジュ」やどら焼きにもなりました。
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